【心臓血管外科のニュース】
医師派遣のお知らせ―2010年5月7日
2010年5月1日付けで、東京医科大学第二外科学教室(重松 宏教授)から高江 久仁(タカエ ヒサヒト)医師が派遣されてきました。高江医師は血管外科専門で、以前にも当科に勤務経験があります。高江医師のプロフィールにつきましては、このページ後半にある「スタッフ紹介」をご覧下さい。
高江医師の赴任に伴い、心臓血管外科外来の診療日と担当が一部変更されました。木曜午後外来が佐川医師から高江医師に変更され、土曜の午前外来は佐川医師と高江医師が交代で担当いたします。詳しくは、このページ最上段の「外来のご案内」をクリックし、「心臓血管外科」の担当表でご確認下さい。
高江医師は、血管外科分野においては日本だけでなく、世界でもトップクラスの東京医科大学第二外科学教室の医局員であり、同教室の最先端の医療を、新潟の患者様にもご提供できるものと確信しております。
血管疾患について少しでもご不安を感じていらっしゃる患者様は、いつでもご遠慮なく当科を受診なさって下さい。全力をあげて診療させていただきます。
―2009年の手術症例とこれまでの手術成績をまとめました―2010年1月5日
2009年1月1日から同年12月31日までの手術症例をまとめました。「当科の手術症例数と手術成績」にアクセスしてご覧下さい。
昨年1年間は心臓・胸部大血管手術が25例、腹部大動脈瘤手術が1例、末梢血管疾患が19例の、計45例の手術数で、2008年の72例から激減しました。しかし、昨年10月からは当科に若手医師が2名増員されましたので、2010年は手術件数が増えると予想しています。
また、2000年4月1日から2009年12月31日までの手術成績をまとめましたので、「心臓血管外科の以前の手術症例数」にアクセスしてご覧下さい。9年9ヶ月間で心臓・胸部大動脈手術は予定手術が327例で、手術後30日以内の手術死亡と、30日以降の在院死亡数は合わせて6例(死亡率 1.83%)、緊急手術は61例で死亡率19.67%(12例)でした。このうち、最も手術数の多い冠動脈バイパス術は予定手術が203例で死亡率0.049%(1例)、緊急手術は32例で死亡率12.5%(4例)でした。腹部大動脈瘤は予定手術が63例で死亡例はなく、緊急手術は18例で死亡率11.11%(2例)でした。
さらに手術成績を向上させるよう精進する所存でおります。
脈管専門医認定筆記試験合格(2009年8月20日)
日本周術期経食道心エコー認定試験(JB-POT)合格(2008年12月25日)
術後感染ゼロ!
【診療内容・特色】
当科は心疾患と大血管の疾患、末梢血管の疾患の外科的治療を行なっています。患者様とその御家族に御病気のことと治療の内容について理解していただくために、手術前の御説明を十分にさせていただき、相談のうえ治療方針、治療方法を決めさせていただいています。心臓、大血管の手術においては、時に命に関わる事態になることもあるため、御家族には、手術の様子をテレビモニターで見ていただいています。手術中のビデオ録画も、御家族に自由にしていただいています。以下に、当科で取り扱っている疾患について説明いたします。
御家族は手術の様子をモニターで御覧になれます (許可を得て掲載)
心臓疾患:
冠動脈の狭窄や閉塞が原因で起こる心筋梗塞や狭心症(虚血性心疾患)に対しては、冠動脈バイパス術が行なわれます。弁膜症には、人工弁置換術や、弁形成術を行なっています。その他先天性心疾患で成人になるまで発見されなかった疾患(心房中隔欠損症など)や心臓腫瘍の手術を行なっています。
冠動脈バイパス術(CABG)は、内胸動脈や右胃大網動脈などの直径1‐1.5mmほどの動脈(まれに下肢の静脈)を、病変のある冠動脈に縫いつけて、心筋に供給される血液を増やします。従来は他の心臓手術と同様に人工心肺という器械を使用して、心臓を一時的に停止させて手術していましたが、現在は約70~75%の手術が、人工心肺を使用せず、心臓を止めずに手術しています。したがって、手術後の経過は一般外科の手術後と大差なく、手術室で人工呼吸の管(気管チューブ)が抜ける(抜管)こともあり、残りも集中治療室へ収容後2‐3時間で抜管できることが多く、この場合、患者さんは手術当日に話しができ、飲水やアイスクリームなどの摂取が可能です。殆どの患者さんは、手術翌日には歩いて集中治療室を退室し、3‐4日後には全身シャワーが可能です。弁膜症やその他の心疾患の手術でも、多くは手術当日に抜管でき、術後経過は冠動脈バイパス術と大差ありません。
大血管の疾患:
大血管には心臓から全身に血液を送る大動脈と、全身から戻ってきた血液が集まる大静脈がありますが、大動脈の疾患が殆どです。大動脈には、胸部大動脈と腹部大動脈があります。
●胸部大動脈の疾患:胸部大動脈瘤と急性大動脈解離(解離性大動脈瘤)が主な疾患です。基本的には人工心肺を使用して人工血管置換術を行ないます。心臓を止めて手術するのが原則ですが、必要な場合には、さらに脳に行く動脈にも直接人工心肺から血液を送って手術します。
●腹部大動脈の疾患:腹部大動脈瘤が多いですが、閉塞ないし狭窄が起こることもあります。どちらも人工血管で置換ないしバイパスします。人工心肺は通常使用しません。
末梢血管の疾患:
動脈と静脈の疾患があり、閉塞ないし狭窄する場合と、瘤になる場合があります。上肢の疾患は少なく、下肢に多いのが特徴です。
末梢動脈の疾患:閉塞ないし狭窄すると下肢では歩行時に痛みが出現します。閉塞性動脈硬化症(ASO)といいます。バージャー病という特殊な疾患もあります。人工血管や自分の大腿部の静脈でバイパス術を行ないます。最近は再生医療といって、血管を新生させる薬剤を局所に注射する治療も限られた施設では行なわれています。当科では再生医療は行なっていません。瘤の場合切除して、必要により人工血管で置換します。
●末梢静脈の疾患:下肢の皮下の静脈に瘤ができ、皮膚が茶色に変色したり、皮膚潰瘍をつくる疾患が多く、静脈瘤(バリックス)といわれます。静脈瘤のできた血管(大伏在静脈が殆どです)を引き抜く手術(ストリッピング)を行ないます。一方、肉眼では見えない、下肢の奥の静脈が閉塞してしまうと、下肢が腫脹し痛みを伴なうようになります。深部静脈血栓症といいます。血栓がはがれて飛んでしまうと肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)という、命に関わる合併症を起こすことがあります。血栓を摘除したり溶かしたりする治療を行ないますが、肺血栓塞栓症を予防するために、下大静脈にフィルターを入れることもあります。
【当科の手術症例数と手術成績】
過去5年間の年ごとの手術件数は表のとおりです。薬剤溶出性ステント(DES)によるカテーテル治療の普及により、2004年以降の冠動脈バイパス手術は以前の約半数になりましたが、2009年は、疾患自体の減少も加わってさらに減少しました。弁膜症では、以前は多かったリウマチ性の疾患が減り、人口の高齢化による動脈硬化性の大動脈弁狭窄症が増加してきています。
備考:④先天性心疾患/心臓腫瘍
⑤両総腸骨動脈瘤に対するY型人工血管置換術を含む
⑧内シャント/動脈表在化/静脈瘤硬化療法/気胸など
(手術成績)
下記にアクセスしてください。
心臓血管外科の以前の手術症例数
以上、心臓血管外科について御紹介申し上げました。当科では透明性を保ち、患者様の意向を尊重した診療の提供を心がけております。御質問等ございましたら、御遠慮なくお問い合わせください。
スタッフ紹介:::::::::::::::