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心臓血管外科

心臓血管外科のニュース

2016年の手術症例とこれまでの手術成績をまとめました

2017年1月8日

2016年1月1日から同年12月31日までの手術症例をまとめました。「当科の手術症例数と手術成績」にアクセスしてご覧下さい。

昨年1年間は心臓・胸部大血管手術が12例で、緊急手術はなく、2015年の12例と同数でした。腹部大動脈瘤手術はありませんでした。末梢血管疾患は6例で、合計では18例の手術数でした。多くの患者様を受け入れられるよう努力しておりますが、結果を出せない状況が続いています。

予定の心臓・胸部大血管手術12例の内訳は冠動脈バイパス術が3例、弁膜症手術が8例、胸部大動脈瘤手術が1例でした。12例のうち術後30日以内の手術死亡はありませんでしたが、冠動脈バイパス術の1例を、手術から65日後に呼吸不全で失いました。

2000年4月1日から2016年12月31日までの手術成績をまとめましたので、「心臓血管外科の以前の手術症例数」にアクセスしてご覧下さい。16年9ヶ月間で心臓・胸部大動脈手術は予定手術が482例で、手術後30日以内の手術死亡と、30日以降の在院死亡数は合わせて11例(死亡率2.28%)、緊急手術は63例で死亡率22.22%(14例)でした。このうち、最も手術数の多い冠動脈バイパス術は予定手術が277例で死亡率1.44%(4例)、緊急手術は33例で死亡率15.15%(5例)でした。腹部大動脈瘤は予定手術が73例で死亡例はなく、緊急手術は19例で死亡率10.52%(2例)でした。

2017年も手術成績をさらに向上させるよう精進する所存でおります。

お願い:心臓大血管手術をお受けになられる患者様にこれまでお願いしていました、日本成人心臓血管外科手術データベース機構(JACVSD)へのデータ登録は、2013年1月1日から、「外科系の専門医制度と連携したデータベース事業(NCD; National Clinical Database)http://ncd.or.jp/about」に移行しました。JACVSDと同様、NCDにおいても、患者様が特定されることはありませんので、引き続き、患者様のデータをNCDに登録させていただきたく、ご協力賜りますようお願い申し上げます。

過去のニュース

診療内容・特色

心臓血管外科

当科は心疾患と大血管の疾患、末梢血管の疾患の外科的治療を行なっています。患者様とその御家族に御病気のことと治療の内容について理解していただくために、手術前の御説明を十分にさせていただき、相談のうえ治療方針、治療方法を決めさせていただいています。心臓、大血管の手術においては、時に命に関わる事態になることもあるため、御家族には、手術の様子をテレビモニターで見ていただいています。手術中のビデオ録画も、御家族に自由にしていただいています。以下に、当科で取り扱っている疾患について説明いたします。

御家族は手術の様子をモニターで御覧になれます (許可を得て掲載)

心臓疾患

冠動脈の狭窄や閉塞が原因で起こる心筋梗塞や狭心症(虚血性心疾患)に対しては、冠動脈バイパス術が行なわれます。弁膜症には、人工弁置換術や、弁形成術を行なっています。その他先天性心疾患で成人になるまで発見されなかった疾患(心房中隔欠損症など)や心臓腫瘍の手術を行なっています。
冠動脈バイパス術(CABG)は、内胸動脈や右胃大網動脈などの直径1‐1.5mmほどの動脈(まれに下肢の静脈)を、病変のある冠動脈に縫いつけて、心筋に供給される血液を増やします。従来は他の心臓手術と同様に人工心肺という器械を使用して、心臓を一時的に停止させて手術していましたが、現在は約70~75%の手術が、人工心肺を使用せず、心臓を止めずに手術しています。したがって、手術後の経過は一般外科の手術後と大差なく、手術室で人工呼吸の管(気管チューブ)が抜ける(抜管)こともあり、残りも集中治療室へ収容後2‐3時間で抜管できることが多く、この場合、患者さんは手術当日に話しができ、飲水やアイスクリームなどの摂取が可能です。殆どの患者さんは、手術翌日には歩いて集中治療室を退室し、3‐4日後には全身シャワーが可能です。弁膜症やその他の心疾患の手術でも、多くは手術当日に抜管でき、術後経過は冠動脈バイパス術と大差ありません。

大血管の疾患

大血管には心臓から全身に血液を送る大動脈と、全身から戻ってきた血液が集まる大静脈がありますが、大動脈の疾患が殆どです。大動脈には、胸部大動脈と腹部大動脈があります。

  • 胸部大動脈の疾患:胸部大動脈瘤と急性大動脈解離(解離性大動脈瘤)が主な疾患です。基本的には人工心肺を使用して人工血管置換術を行ないます。心臓を止めて手術するのが原則ですが、必要な場合には、さらに脳に行く動脈にも直接人工心肺から血液を送って手術します。
  • 腹部大動脈の疾患:腹部大動脈瘤が多いですが、閉塞ないし狭窄が起こることもあります。どちらも人工血管で置換ないしバイパスします。人工心肺は通常使用しません。
末梢血管の疾患

動脈と静脈の疾患があり、閉塞ないし狭窄する場合と、瘤になる場合があります。上肢の疾患は少なく、下肢に多いのが特徴です。
末梢動脈の疾患:閉塞ないし狭窄すると下肢では歩行時に痛みが出現します。閉塞性動脈硬化症(ASO)といいます。バージャー病という特殊な疾患もあります。これまでは人工血管や自分の大腿部の静脈でバイパス術を行なってきましたが、2010年6月から、閉塞性動脈硬化症に対しては、血管内治療といって、足の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、狭くなった動脈の場所に、金属でできた一種のバネ(ステントといいます)を留置して狭窄部を拡張する治療を開始しました。手術の前日に入院していただき、手術は局所麻酔で施行可能で、2日後には退院できる3泊4日の低浸襲の治療法です。この他、再生医療といって、血管を新生させる薬剤を局所に注射する治療も限られた施設では行なわれています。これは循環器内科が行うことが多く、当院では再生医療は行なっていません。瘤の場合切除して、必要により人工血管で置換します。

  • 末梢静脈の疾患:下肢の皮下の静脈に瘤ができ、皮膚が茶色に変色したり、皮膚潰瘍をつくる疾患が多く、静脈瘤(バリックス)といわれます。静脈瘤のできた血管(大伏在静脈が殆どです)を引き抜く手術(ストリッピング)を行ないます。一方、肉眼では見えない、下肢の奥の静脈が閉塞してしまうと、下肢が腫脹し痛みを伴なうようになります。深部静脈血栓症といいます。血栓がはがれて飛んでしまうと肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)という、命に関わる合併症を起こすことがあります。血栓を摘除したり溶かしたりする治療を行ないますが、肺血栓塞栓症を予防するために、下大静脈にフィルターを入れることもあります。

診療実績

2012年から2016年までの直近5年間の年ごとの手術件数は表のとおりです。薬剤溶出性ステント(DES)によるカテーテル治療の普及により、2004年以降の冠動脈バイパス手術は減少傾向を示しています。2016年は3例で、2015年の6例から3例減少しました。冠動脈バイパス手術は各施設で減少していますが、その理由として、これまで冠動脈バイパス手術の適応と考えられていた左冠動脈主幹部狭窄に対しても、カテーテル治療を行うことが多くなってきたことが主因となり、循環器内科主体の治療が一般化してきているためと考えています。弁膜症では、以前多かったリウマチ性の疾患が減少している傾向が続き、人口の高齢化により、動脈硬化性の大動脈弁狭窄症が増加している一方で、僧帽弁は閉鎖不全症が増加してきています。
当科では2012年から、僧帽弁閉鎖不全症に対して可及的に僧帽弁形成術を行うことにしていますが、2016年の僧帽弁閉鎖不全症の手術は2例で、この症例には弁形成術を行いました。
当院の循環器内科では、心房細動に対して焼灼術による治療を行っていますが、弁膜疾患の手術が必要な心房細動の症例では、当科で僧帽弁ないし大動脈弁の手術を行う際に両側肺静脈隅離術を併施し、その後、循環器内科で右心系のみ焼灼術を行うことで心房細動から洞調律に戻すことも可能ではないかと考え、昨年は4例の弁膜疾患手術時に両側肺静脈隅離術を行いました。症例を蓄積して検討を行いたいと考えています。

最近5年間の手術症例数
2000年以外は1~12月
手術の種類/西暦年 2012 2013 2014 2015 2016
(1)冠動脈バイパス術 13 14 8 6 3
(2)弁膜症手術 19 9 11 5 8
(3)胸部大動脈瘤手術 1 1 0 0 1
(4)他の人工心肺手術 0 1 0 1 0
A 小計(心臓・胸部大血管手術)(1)~(4) 33 25 19 12 12
(5)腹部大動脈瘤 1 0 0 0 0
(6)末梢動脈疾患 2 1 1 4 3
(7)下肢静脈瘤 3 1 6 7 2
(8)その他 24 1 1 2 1
B 小計(5)~(8) 30 3 8 13 6
総手術数(A+B) 63 28 27 25 18

備考
(4)先天性心疾患/心臓腫瘍
(5)両総腸骨動脈瘤に対するY型人工血管置換術を含む
(8)内シャント/動脈表在化/経皮的血管形成術(PTA)/静脈瘤硬化療法/気胸など

手術成績

以上、心臓血管外科について御紹介申し上げました。当科では透明性を保ち、患者様の意向を尊重した診療の提供を心がけております。御質問等ございましたら、御遠慮なくお問い合わせください。

スタッフ紹介

齊藤 寛文(さいとう ひろふみ)
齊藤 寛文(さいとう ひろふみ)副院長心臓血管外科部長
1980年 東京大学医学部医学科卒業 医学博士
1988年~1990年 ミュンヘン・ドイツ心臓病センター留学(フンボルト財団奨学研究員)
[ 略歴 ]
1980年 6月-1981年11月:東京大学医学部附属病院第二外科系研修医
1981年12月-1984年 6月:財団法人竹田綜合病院(外科医員)
1985年 1月-1985年 8月:財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院(循環器外科医員)
1985年 9月-1987年 9月:東京大学医学部附属病院(胸部外科医員、文部教官助手)
1987年 9月-1988年 8月:埼玉医科大学総合医療センタ-(救命救急科講座助手)
1988年 8月-1990年 5月:ミュンヘン ドイツ心臓病センタ-留学 ( アレクサンダー フォンフンボルト財団奨学研究員)
1990年 6月-1991年 3月:東京大学医学部附属病院(胸部外科文部教官助手)
1991年 4月-1994年 3月:総合病院国保旭中央病院(心臓外科医長)
1994年 4月-1996年 1月:東京大学医学部附属病院(胸部外科文部教官助手)
1996年 2月-2000年 3月:帝京大学医学部附属市原病院 (心臓血管センタ-講師)
2000年 4月-2009年 9月:医療法人 博医会 新潟こばり病院 (心臓血管外科部長)
2009年 10月- 現在:新潟県厚生連 新潟医療センタ- (副院長・心臓血管外科部長)
心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医 日本胸部外科学会指導医 日本外科学会外科専門医 日本外科学会指導医 日本循環器学会認定循環器専門医 日本救急医学会救急科専門医 麻酔科標榜医 日本脈管学会認定脈管専門医 日本医師会認定産業医 日本医師会認定健康スポーツ医 インフェクションコントロールドクター 日本循環器学会認定ACLSインストラクター 日本周術期経食道心エコー認定試験(JB-POT)合格 日本外傷学会外傷研修コース(JATEC)インストラクター アメリカ心臓協会 日本循環器学会国際トレーニングセンター(JCS-ITC)BLS/ACLS/ACLS EPインストラクター
主な所属学会日本胸部外科学会 日本心臓血管外科学会(国際会員) 日本血管外科学会 日本外科学会 日本脈管学会 日本救急医学会 日本循環器学会 日本外傷学会 日本冠疾患学会 日本人工臓器学会 日本不整脈学会

外来診療時間

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