診療科・部門

内科

診療内容・特色

当院の内科は 総合的に診療する全人的医療と、個を大切にする治療(CURE)とケア(CARE)を基本理念としております。

一般的に一つの病気に対し専門の科が担当しますが、時には一つの病気が複数の臓器の障害や合併症を きたし複数の科が関わることもあります。また症状によっては専門の科がはっきりしない病気、更に症状があっても明らかな病気がないこともあります。当院の内科では特定な病気や症状だけを診るのではなく、総合的に診療し一人の人間としての個を大切にする全人的医療(※1)を行うことを基本理念とし、そのうえで更なる専門的な診断や治療を必要とする時は当該科への紹介や、共同診療もおこなっています。

日常時々遭遇する高齢者の下肢のむくみを例にとり内科の診療について説明いたしますと、原因として 考えられる疾患には うっ血性心不全、肝硬変、腎機能障害、甲状腺機能障害などのホルモン異常、降圧剤や甘草(漢方)などの薬剤、変形性腰椎症や膝関節症などによる血流障害、腹部腫瘍による静脈やリンパ管の圧迫、脳血管障害やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、下肢の深部静脈血栓など多くの病気があり、それぞれに対し専門の科があります。しかし高齢者ではこれらの明らかな病気がなくても下肢のむくみは起こります。それは 食事量の減少や、吸収の低下により蛋白質が減り、血漿の浸透圧が下がります。
また、筋肉量が減り(サルコペニア)、活動性も下がる(フレイル)ため静脈血の輸送作用も低下、更に、筋肉量が減り、組織の細胞の数が減ったり、細胞がやせたりすることにより組織や細胞間の隙間が空き、水がたまりやすい状態となってきます。更に心臓の筋肉の線維化が進み、心臓の収縮期障害はなくても 拡張期障害がおこり、静脈圧が上昇しやすい状況になります。また80歳くらいになりますと腎機能検査では異常がなくても20歳の人の腎機能の半分になるといわれていますし、一日中椅子に腰かけ下肢を下げているだけでも重力により体液が下肢に集まりむくみが出てきます。そして、これらの事柄を総合的に検討して下肢のむくみの原因を診断し、治療においても原因疾患の治療や投薬だけでなく、食事(減塩、蛋白質摂取など)、運動・リハビリ(股関節、膝関節、足関節の屈伸運動など)、自律神経の調節改善(ストレス回避や睡眠)、日常生活の注意(下肢の挙上や靴、下着の選択など)、補助具(弾性ストッキング)、マッサージ(リンパ性浮腫に対して)など多岐にわたる対策を講じます。

つまり 医療において原因疾患や病気の有無などを総括する総合的な診断が大切ですし、治療の面では 多方面からの対策やEBM(Evidence-based Medicine:根拠に基づいた医療)を提供すると共に、個々に異なる社会・環境・家庭・職場・経済性・性格・嗜好・人生に対する考えなどのQOL(Quality of life:生活の質)を考慮し、患者さまの希望されるNBM(Narrative-based Medicine:物語に基づいた医療)を心掛けることが必要です。

このような理念に基づき、当院の内科はCURE(治療)部門において 何科にかかっていいかわからない時の窓口としての診療と共に、WHOの唱える非感染性疾患(※2)をはじめとする様々な内科疾患や、複数の分野の病気を合併した人をも対象とした総合診療や治療を行っております。

また、内科の救急医療においては、長年にわたり救急指定病院として救急患者の積極的な受け入れをし、新潟市の病院群輪番制(二次救急)にも参加しています。

そして、当院の内科は、患者総合サポートセンター(地域医療連携室、医療相談室、新潟こばり訪問看護ステーション、新潟医療センター居宅介護支援事業所、介護医療院こばり園の5部門で構成)として、地域の病院、診療所、介護福祉施設、行政などと連携し、CURE(治療)部門と共にCARE(ケア)部門においても力を入れ、地域社会の安心と信頼に寄与するため、医療、保健、介護、福祉の切れ目のないサービスの提供や支援、相談にも対応しております。

  • ※1 全人的医療:特定の部位や疾患に限定せず、個々の人の心理や社会的側面なども含めて幅広く考慮しながら、一人一人に合った総合的な疾患予防や診断、治療を行う医療
  • ※2 非感染性疾患:世界保健機関(WHO)は、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの原因が共通しており、生活習慣の改善により予防可能な疾患をまとめてNCD(noncommunicable disease:非感染性疾患)と位置付けています。これには心臓血管疾患、がん、糖尿病、慢性呼吸器疾患 、高血圧、脂質異常症、うつ病、脳血管障害などが含まれます。

スタッフ紹介

部長

本多 博史

略歴 昭和49年 新潟大学医学部卒業
認定資格等 日本内科学会認定内科医
日本医師会認定産業医
所属学会 日本内科学会
日本老年医学会

外来診療時間

受付時間は「外来診療担当医表」をご確認ください。